ベースギター|斜めに取り付けてあったネックプレートを自分でまっすぐに直した話

ベースギター|斜めに取り付けてあったネックプレートを自分でまっすぐに直した話

手元にあった安いベースギター(プレベタイプ)のネックプレートをふと眺めてみると、斜めについていました。見て見ぬふりをしようかとも思ったのですが、どうにも気になる…。ということで自分でお直ししてみました。実際に試してみて分かった作業のポイントなどについて紹介しています。

ベースボディのネックジョイントの穴|ビフォーアフター

まずはネックプレートのビフォー・アフターをご紹介。以下がビフォー。これまで意識していなかったのですが、よく見るとネックプレートが斜めについています。

なんじゃこりゃとネックをはずしてみたところ、プレートとボディの穴の位置が合っていません。それを強引に取り付けているといった感じでした…。

また、ネジ穴が斜めにあいているようで、ネジをつけてみると以下のような感じ。

それぞれ妙な方向を向いています。

中古で買った安いベースですからそういうこともあるのでしょう。気にせず使うという選択肢もありなのですが、気になりだすと直したくなるのが人情。お直しに挑戦してみることにしました。

以下が穴を補修後、ネックプレートを当てたところ。

素人仕事にしてはうまくいったかなと。よく見ると穴が微妙に斜めになっているなど、イケてない箇所もありますが、趣味で演奏する用の安ベースですし気にしないことにします。

なお、作業してみた感想ですが、高級・あるいは希少なギター・ベースのお直しはプロの手を借りる方がおすすめです。

ベースのネックジョイント(ボディ側)の穴の補修方法

使った道具

  • 電動ドリル
  • ラミンの丸棒(直径5mm)
  • タイトボンド
  • ノコギリ
  • 彫刻刀
  • キリ

この手の作業は電動ドリルが必須です。数千円で購入できるので、DIYが好きな方であれば、購入しておくのがおすすめ。私が愛用しているのはリョービ(京セラ)の安いモノですが、十分に役立っています。

穴の補修にはラミン(比較的硬い木材)の丸棒を使いました。ラミンは輸入が禁止になり、取り扱いはほとんどなくなっているはずですが、ホームセンターなどでときどき見かけます。

ラミンがなければその他硬めの木材を手に入れてください。

接着剤はギターリペアの定番タイトボンド。アマゾンで手軽に入手可能です。

ネックを取り外す

まずは作業のためにネックを取り外します。その際、まずは弦を取り外してください。弦のテンションがかかったままネックのネジを緩めるとネックのネジ穴に過剰な力がかかり、使い物にならなくなってしまいます。

弦を外したら、ネックプレートのネジを慎重に回して取り外しましょう。

直径5mmのドリルビットで穴を広げる

続いては穴を広げます。直径5mmの丸棒を使うので、5mmのドリルビットで穴を広げます。

ほんのりと大きめに穴をあけるのがポイント。5mmの丸棒で5mmピッタリの穴では丸棒が通りません。

ラミンの丸棒とタイトボンドで穴を埋める

穴に丸棒が刺さるのを確認したら、ラミンにタイトボンドを塗り付けて挿入。

そのまま24時間放置です。

なお、この写真では、丸棒のでっぱりがありますが、あらかじめ丸棒を然るべき長さにカットして、「でっぱりが出ない」ように作業すべきだったかなと反省。というのも不要な部分をカットする作業がやたら大変だったのです。

丸棒の余計なでっぱりをカット

今回の作業で一番ヒヤヒヤしたのがこの作業。

ノコギリでざっくりと丸棒をカットし、別たち(彫刻刀の大きいモノだと思ってください)で削りました。

手元に彫刻刀やノミが無かったため家にあった別たち(レザークラフトなどで使うアイテム)を選んだのですが、道具としては完全にチョイスミス。刃が大きすぎてかなり扱いにくく、塗装を傷つけることに…。同じような作業をする場合、彫刻刀やノミを使うべきでしょう。

何とかカットしたのが以下。

塗装を傷つけないように、マスキングテープなどを駆使したのですが、鋭利な刃物の前では特に意味もなく…。安いベースとは言え、自分で傷を入れてしまうとやはりヘコみます…。

先ほども触れましたが、そもそもの話として、ネックジョイント部分の穴埋めであれば、必要な長さがはっきりしています。あらかじめ、丸棒を必要な長さにカットしておくのがよいと思います。

ネックプレートに合うよう穴をあける

穴埋め作業が終わったので続いては穴あけ。ネックプレートを当て、ぴったりと合うよう穴をあけていきます。ココでのポイントは、「いきなりドリルで穴をあけないこと」。平面にいきなり穴をあけようとすると、ドリルの先端が滑って危険です。

まずは先端の尖ったもので、穴をあけたい箇所に小さなくぼみを作ります。くぼみがドリル穴の目印となり、なおかつ、ドリルの先端がズレるのを防止する効果も発揮してくれます。

穴あけに使ったのは凶器のようなワインオープナー。道具は画びょうでもなんでもアリです。

以下、ポチポチと小さな穴があいています。

続いてはドリルでの穴あけですが、ベースのボディに対し、垂直な穴をあけるのは簡単ではありません。ドリルでの穴あけを適当にやると斜めの穴となってしまいます。

垂直な穴を開けるべく、端材を利用してL字型の木片を用意しました。ドリルのガイド代わりです。L字のコーナー内側をドリルのビットに当てながら穴あけをすれば、穴がある程度垂直になります(卓上ボール盤のように完璧にはなりません)。

失敗したときのことを考え、小さ目の3.5mmビットを取り付け、ドキドキしながら穴をあけました。

その後、ネジが通りやすくするため、ネジの直径よりもちょっと大きい5mmのビットに切り替えて穴を大きくしています。

ネジがスポスポと通るサイズです。

なぜボディのネジを通す穴を大きくするのか。理由は以下のようなもの。断面の模式図です。

ボディ側の穴がネジよりも大きい場合、ネジを締めるほど、ボディとネックがしっかりと密着します。

ボディ側の穴が小さい場合、ネジを締める際にボディとネックがズレやすく、隙間やズレが生じることがあります。

上記のようになった場合、ネックとボディを密着させようと思っても、これ以上はネジを回せません。また、あまりに締め付けるとネジ穴やネジの溝をダメにする可能性があります。

なお、どちらの方が音がよいといったことではなく、木工細工をする上でのテクニックです。

上記の作業により、ボディ側の処理は完成。続いては、ボディの穴の補修に伴い、ネックの穴も補修しました。詳細については下記ブログをチェックしてみてください。

ネックのネジ穴も補修して、諸々を組み付けたのが以下。

斜めになっていたネックプレートがまっすぐになり、見た目が随分と改善されました(見えない部分ではありますが)。気持ちの問題ですが、まっすぐな方がベターです。

ボディのネジ穴は丸棒とタイトボンドで補修可能

やってみた感想は、ベースギターのボディのネジ穴は丸棒とタイトボンドがあれば、案外簡単に直せます。若かりし頃、つまようじと木工用ボンドで強引に補修するなんてこともしていましたが、もう少し丁寧に作業すべきだったなと思うところです。

その後、ネックのネジ穴やネックの取り付け角度など諸々調整した結果、ずいぶんと弾きやすいベースへと生まれ変わりました。なんでもやってみるものですね。

弾きやすくなったのもうれしいのですが、自分で諸々の調整をすると、お気に入り度がアップするのが最大のメリットのような気もします。

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