つま先にざっくりと傷が入ってしまったお気に入りのブーツ。コレも味と言い聞かせてきましたが、やはりちょっと気になるもの。そこでコロンブスのアドベースとアドカラーを利用して補修することにしました。結果は大満足。どこに傷があったのかわからなくなったほどです。そんなアドベースとアドカラーによる補修の模様や使い方のポイントなどもご紹介していきます。ブーツや革靴、あるいはソファーなど、レザーの傷が気になっている方はぜひ参考にしてみてください。
アドベースによる補修のビフォー・アフター
まずはアドベース・アドカラーによる補修のビフォーアフターをご紹介。補修後はつま先の傷が目立たなくなっています。完璧な修復とは言えませんが、ワイルドに穿くタイプのブーツですから、まあ十分かなといったところです。
以下は補修前の全体像。色々なところにぶつけたため、左右共につま先がガタガタになってしまっています…。これも味と言い聞かせてきましたが、ちょっとその言い訳も苦しくなってきました…。
下記が補修後の全体像。傷はほとんど目立たなくなっています。傷も味といえなくはありませんが、傷はない方がすっきりと履けるのは間違いありません。また、履き口など、色が落ちていた箇所もついでに染色したので、少し上品な感じになっています。乾燥を待つ時間をのぞけば30分程度の作業です。
ちなみにブーツは表参道の古着屋さんで購入したWEINBRENNERという会社のモノ。レッドウィングのポストマンチャッカをワイルドにしたような雰囲気で気に入っています。
ベロの裏に製造年月日がプリントされているのですが、なんと1979年11月21日製とのこと。そりゃ傷も入るはずですね。購入してから10年近く経過しましたが大きなダメージはなくまだまだ履けそう。アイレット(ハトメ)の色が剥がれているのを何とかしたいと思う今日この頃です。
【追記】
せっかく傷を補修したので、ハトメを自分で交換してみました。ゴールドのハトメを装着したところ、ブーツが一気にカジュアルな雰囲気に。かなり気に入っています。ハトメの交換方法について下記ブログにてご紹介してますので、併せて参考にしてみてください。
アドベース・アドカラーの使い方
続いてはアドベース・アドカラーの使い方についてご紹介していきます。難しいことはありませんが、上手く仕上げるためのコツのようなものは少なからず存在しています。コツやポイントについて解説していますので、参考にしてみてください。
補修部分のクリーニング
まずは補修部分をキレイにします。汚れをしっかりと落としておかないと、汚れごとコーティングすることになるからです。せっかくお気に入りの靴を補修するのに、汚れごとコーティングするのはイヤですよね。ということで、まずはブラシをかけてホコリなどをおとします。
続いては堅く絞った布で表面を拭きとっていきます。これでかなりキレイになるはずです。
やすりがけ
汚れを落としたら次はやすりがけ。傷はえてしてガタガタになっているものですが、やすりで平らにならします。周囲の色も削れて落ちてしまいますが、最終的にアドカラーで染色するのでそれほど気にする必要はありません。とはいえ、周囲を削るのは最小限にとどめたいので、慎重に作業しましょう。やすりの番手は320番にしました。
下記がやすりがけをする前のつまさきです。傷の表面がガタガタになっているのがおわかりいただけるかと思います。また、一部の皮がささくれのようです。
下記がやすりで傷を削ったところ。ガタガタだった傷がなめらかになっています。なお、革がめくれてささくれのようになっていた箇所はニッパーを使ってとりのぞきました。
やすりをかけた後は削りカスが残っているはずなので、先ほどの布でふき取ります。コレで下準備は完了です。
アドベースを塗布⇒乾燥
続いては傷を埋めるようにアドベースを塗布します。ナイフ形のモノを利用し、出来るだけ平面になるように塗るのがコツです。そのため今回は割りばしの先を削ったモノを利用しました。試したことはありませんが、アイスのヘラなども良いかもしれません。ちなみにパレットの代わりはラップを敷いたお皿です。
下記がアドベースを塗布したところです。何度か補修した経験則として、傷の真上だけでなく、その周辺もちょっと覆うくらいがちょうど良いようです。
アドベースが乾燥するまでの時間は30~40分程度。乾燥前に作業すると失敗の元になるので、しっかりと乾燥させましょう。私は1時間放置しました。
やすりがけ
アドベースが乾燥したらやすりで慣らします。ポイントはとにかく平面を目指すこと。それによって最終的な仕上がりが大きく変わってきます。前の工程で平らに塗っておけばやさしく表面をならすだけで平らになります。ゴリゴリとこするとアドベースが剥がれてしまうので、優しくこすりましょう。
削り過ぎたかも…という場合には、慌てず騒がずアドベースを再度塗布し、乾燥するのを待ちましょう。そういった心の余裕も大切。失敗してもやり直しがきくので大丈夫です。
なお、紙やすりはたまたま家にあった320番を使用しましたが、メーカー推奨は400番です。また、家にあったスポンジ研磨剤でも磨いてみたのですが、使いやすかったのは通常の紙やすり。平面を出すイメージなので、紙やすりの方が有利なんだと思います。
アドカラーで染色
表面が平らになったところで、アドカラーで染色します。ポイントはサッと塗る事。そして薄く塗る事です。すぐに乾燥するので、モタモタしているとガタガタになってしまいます。
手の甲にちょっとだし、指に最低限の量をちょっとつけて、サッとひと塗りで仕上げましょう。ペタペタやっていると表面がガタガタになってしまうので一度縫った箇所は乾燥するまでさわらない方がベターです。一度手の甲に出す理由は適量を指につけるため。チューブから直接指につけると量が多すぎ上手く塗れなくなる可能性があります。
下記写真は左側のブーツにアドカラーを塗った直後です。乾いていないのでちょっとてかっています。
なお、アドカラーを縫ってみると「なんだかデコボコしてるかも…」なんて感じることもあるもの。そんな時も「失敗した…」と嘆く必要はありません。
デコボコしていると感じる場合には、アドカラーが乾いた上で再度やすりがけ。表面を平らにならしましょう。その上で、アドカラーで再度染色すれば問題ありません。手間をおしまないことが綺麗に仕上げるコツです。
ただし、あまりにこだわり過ぎるとドツボにハマるため、ある程度で妥協することもポイントの1つ。悩んだ際は「誰もそこまで見ないだろ」とつぶやいてみてください。
靴クリームで馴染ませる
最後に周囲となじませるために靴クリームを塗布。コレで補修あとがかなり目立たなくなります。下記はクリームを塗った後の写真です。わかりやすいように主な補修箇所を丸でかこっています。
良く見れば補修跡がわかりますが、パッと見であれば気付く人はいないはず。以上で作業は完了です。お疲れ様でした。
アドカラーとレノベイティングカラーの違い
革製品の補修といえばサフィールのレノベイティングカラー補修クリームも有名です。どっちが良いの?と疑問に思う方もいるかもしれません。ザックリと言えば、大きな傷はアドベース+アドカラーがおすすめ。小さな傷ならサフィールのレノベイティングカラーがおすすめです。違いや使い分けのポイントに関しては別のブログで解説していますので、参考にしてみてください。
革製品の傷はアドベースとアドカラーで補修可能
以上、ブーツの傷をコロンブスのアドベースとアドカラーで補修した話でした。それほど難しい作業ではありませんし、コストも1,000円程度。乾燥待ちを除き、作業時間はそれほどかかりません。それでお気に入りのブーツの傷が目立たなくなるのですから、やらない理由はないはずです。
なお、今回はブーツの修理をしましたが、革製品の傷であれば同じように補修可能です。革靴、スニーカーはもちろん、ベルト、ライダースジャケット、ソファー、車のハンドルなど、さまざまなアイテムに応用できます。レザーの破れにお困りの方はぜひトライしてみてください。